水封式ポンプの欠点
2021年4月6日
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食品および飲料産業における水封式ポンプ
水封式真空ポンプは、食品および飲料の生産の最適化のために一般的に使用されています。こうした製品は、液体の蒸発、処理チャンバーの排気、および食品包装プロセス中の空気の除去など、幅広いアプリケーションに対応しています。
水封式ポンプには、構造のシンプルさ、初期価格の低さ、最小限の摩耗と損傷、運用寿命の長さなど、複数の利点があります。何年も前にこの業界で水の使用とコストに関する懸念が存在しなかったときには、水封式ポンプは安価で使いやすいものでした。
しかし、時代が変わり、業界内で水の使用量も考慮されるようになりました。水封式ポンプは、エネルギー効率、生産性、または一貫した真空を維持するために最も有効なオプションというわけではありません。
水封式ポンプの欠点
他のタイプの機械式真空ポンプと比較した場合、水封式ポンプには次のような欠点があります。
高い資本設備コスト
水封式ポンプポンプ(LRVP)の初期購入価格は、ドライポンプよりも低額かもしれませんが、業界特有の懸念事項からLRVPをシステム化する必要が生じており、LRVPとドライポンプ間のコスト格差が小さくなっています。このシステム化コストには、次のものが含まれます。
- 循環システム(ポンプ、チラーなど)
- セパレータ
- モーター
- フレーム
- 材質(SS、ハステロイ、真鍮など)
- シール材とパッキン
- コントロールパネル
- モーター用の大規模な配線とコンポーネント
- 水用の配管
- 床面積に占める「設置面積」
エネルギー消費量
水封式ポンプは、水封の形成と維持のために大量の電力を必要とします。つまり、他のポンプよりも約20~25%多くのエネルギーを消費する大型モーターが必要なのです。
水再循環システムが装備されている場合、モーター、チラー、またはその他のアクセサリーが追加され、電力消費量がさらに増加する場合があります。
比較的低いメンテナンスコストにもかかわらず、ポンプの寿命全体を通じたエネルギー消費量には、最大で当初購入価格の5倍のコストがかかる可能性があります。
水の消費量
水封式ポンプは、水封、通常は安定した水流を利用して真空に到達します。冷却水システムを設置して、運転中に発生する熱を低減することもあります。
このため、水の消費量が最大の欠点の1つです。水処理のコストは、供給コストの3倍から4倍になります。
地下水や貯水池の水を使用している場合でも、関係費用は発生し、供給と処理の設備にさらなる負担がかかります。
処理中に、ガス由来の汚染物質が水に閉じ込められ、再循環を続けて損傷の原因になる可能性があります。これにより、汚染された液体の処理に追加のコストがかかり、ポンプの寿命が短くなる可能性があります。
キャビテーションのリスク
キャビテーションは、圧力が一定の制限値未満に下がると発生し、液体中に小さな気泡を生じさせます。高圧にさらされるとこうした気泡が崩壊し、内部の機械類が破損する可能性があります。
液体リングポンプをこの限界(「キャビテーション限界」)未満で運転すると、ポンプが破損するおそれがあります。この現象によるポンプの破損は、冷却水の温度が上昇する夏場にしばしば発生します。
キャビテーションのリスクを低減するために「アンチキャビテーションライン」またはリリーフバルブを取り付けて、設備を保護することができます。
限られたパフォーマンス
水封式ポンプの性能は、液体の温度に依存します。達成可能な真空度は、動作温度でのシーラント液の蒸気圧によって制限されます。
これによりポンプの性能が制限されるだけでなく、冷却システムによる運転コストが増大し、水の消費量が増える可能性もあります。
水封式ポンプの長所と短所
お客様のビジネスに適した真空ポンプを決定する際には、あらゆる要因を考慮することが重要です。水封式ポンプは手ごろな価格であり、摩耗と破損を抑えることができますが、エネルギーと水のコストが高くつきます。
選択するポンプに関わらず、適切なメンテナンスは、機械類の寿命を延ばし、破損のリスクを軽減するのに役立ちます。